ヤサオトコ

 車窓に淀川の淀んだ川が、通り過ぎて行く。


 「仕方が無い。これも定めか」


 栗崎は腹の底から大きく息をした。


 「おむつ姿で出勤でもするか」


 スラックスの下で紙おむつがごわごわしている。



 (まさか課長に馬鹿にされた通りになるなんて・・・)


 栗崎がおむつの辺りに視線を落とした。



 (超格好悪い!)



 (でも、これが現実か・・・)



 栗崎は自分が哀れで、哀れで、泣きたい心境だった。






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