ヤサオトコ

 冴が向かいの席から、体を捩じらせるようにして栗崎の横に席を変えた。


 「ねえ、いいでしょう」


 冴が、いきなり唇を求めて来た。


 「止めないか」


 栗崎が、咄嗟に冴の唇をかわした。


 「ここがいやなら、ホテルを取ってもいいのよ」
 「仕事がありますので、僕はこれで失礼します」


 栗崎が帰るつもりで、ソファーから立ち上がった。


 「まだ、いいじゃない。何なら、支配人に電話をして、同伴にして上げてもいいわよ」


 冴が、栗崎を執拗に引き止めた。






 、
< 312 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop