ヤサオトコ

 栗崎は、冴の言葉を無視してドアへと向った。


 「このままホストを続けるか、薔薇色の将来がある共同経営者になるか。良く考えるのよ。馬鹿じゃ無ければ、どちらが良いか、すぐに分かるはずよ」


 「お返事は、次の機会に致します。じゃ、これで失礼致します」


 栗崎は、執拗に追い掛けてくる冴の言葉を振り払い、ドアの外へと出た。


 (俺は、男娼じゃない。幾ら落ちぶれても、決して体は売らない。俺にだって、プライドはあるんだ)


 栗崎はエレベーターに乗らず、階段で走るように下に下りた。
 外に出ると、清清しい空気が、栗崎の火照る顔を優しく撫でた。






 
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