ヤサオトコ

 「ご、ごめんなさい」


 仁王立ちしていた郁が、行き成り頭を直角に下げた。


 「嘘だったのか・・・」


 失望。そして、落胆。
 栗崎は、全身から力が抜けて行くのをいまいましく感じていた。


 「嘘じゃないよ。勘違いだからね」


 郁が言い訳をした。


 「勘違い?」


 「私、晃司に言ってなかったけど、一度だけ妊娠した事があるんだ。その時のつわりとそっくりだったので、てっきり妊娠したものと思い込んでいた。本当だよ。信じて」
 「・・・」


 「妊娠していないと知った時は、私も驚いてしまった。でも、ホストにまでなって、子供の為に頑張っている晃司には、どうしても言えなかった。言えなかったんだよ。ごめんね。本当に謝るよ」


 郁は隠していた妊娠の経験まで打ち明けて、栗崎に心から謝った。







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