ヤサオトコ

 その足で、栗崎は『ジェントル』へと向った。
 途中、栗崎は携帯から城田冴に電話を入れた。


 「夢崎光です」
 「なんだ、夢崎君。もしかして、心が決まったの。嬉しい。いい返事なんでしょう」


 携帯電話から、冴の弾んだ声が聞こえて来た。


 「あのお話は、お断りする事に致しました。今まで、いろいろとお世話になりました。本当に有難うございます。では、これで失礼致します」


 「待って!」
 「プププププーーー」


 栗崎は用件を言い終えると、一方的に電話を切った。


 (いったいどうして・・・)


 (何故?何故?なぜ?)


 あんないい話を夢崎が何故断るのか、冴はどうしても分からなかった。


 (こうなれば、直接夢崎に会って胸の内を聞くしかない)


 冴は開店を待って、『ジェントル』に乗り込む覚悟をしていた。











< 322 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop