ヤサオトコ
その足で、栗崎は『ジェントル』へと向った。
途中、栗崎は携帯から城田冴に電話を入れた。
「夢崎光です」
「なんだ、夢崎君。もしかして、心が決まったの。嬉しい。いい返事なんでしょう」
携帯電話から、冴の弾んだ声が聞こえて来た。
「あのお話は、お断りする事に致しました。今まで、いろいろとお世話になりました。本当に有難うございます。では、これで失礼致します」
「待って!」
「プププププーーー」
栗崎は用件を言い終えると、一方的に電話を切った。
(いったいどうして・・・)
(何故?何故?なぜ?)
あんないい話を夢崎が何故断るのか、冴はどうしても分からなかった。
(こうなれば、直接夢崎に会って胸の内を聞くしかない)
冴は開店を待って、『ジェントル』に乗り込む覚悟をしていた。