ヤサオトコ
栗崎は時間を計算し、開店前の『ジェントル』に入店した。
丁度、支配人が店に来たばかりだった。
栗崎は支配人を捉まえると、一身上の都合で店を辞める事を申し出た。
支配人は思い止まるよう、強力に説得したが、栗崎の意志は思いのほか固かった。
支配人は今日まで働いた給料を、指定の銀行口座に至急振り込む事を告げた。そして、気が変われば、いつでも店に戻るよう付け加えた。
栗崎は用件が済むと、逃げるように店を出た。
外の空気を腹一杯に吸うと、開放感が栗崎の全身を包んだ。