ヤサオトコ

 「食事をご馳走して欲しいの」

 絢奈が不気味な笑みを浮べた。


 「しょ、食事ですか」
 「心のこもった食事をね」


 (心のこもった食事って・・・)


 一瞬、栗崎は言葉の意味を考えた。
 でも、わからなかった。


 「・・・わかりました」
 「では、夜に電話下さる」


 絢奈は栗崎にメモを渡した。
 そのメモには、携帯電話の番号とメールアドレスが書かれていた。


 「じゃ、約束したわよ」


 そう言って、絢奈は立ち去った。
 栗崎は、絢奈の後ろ姿を呆然と見送っていた。




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