ヤサオトコ
計算通り。
絢奈は物事の運びに満足していた。
栗崎と会ったのは、これが3度目。
絢奈は2週間程前、一度だけ栗崎と会った事があった。
場所は大泉産業の役員室で。
秘書をしている絢奈は、その時、栗崎にお茶を差し出した。
常務との話に夢中になっていた栗崎。
(恐らく、自分には気が付いていないはずだ)
が、絢奈ははっきりと記憶していた。
(こんなにも好みのタイプの男がいるなんて・・・。驚いてしまう)
絢奈は、今もあの時の衝撃をはっきりと覚えていた。
(もう一度会いたい)
その願いが思いの他、早く適った。