ヤサオトコ
また、朝が来た。
(休もうか)
(いや、休む訳にはいかない)
この問答に続いて、『好かん蛸』辺りで雷が鳴り出す。
最近、栗崎が出勤する前の恒例行事だ。
いつものように『好かん蛸』で用をする。
すると、お腹の痛みが嘘のように消えた。
「いってらっしゃい」
今日も店主の房江に送られて、栗崎は会社へと向った。
「今日もおむつで出勤か」
「情けない。それにしても情けない。超情けない」
栗崎が蚊の鳴くような声で独り言を呟いた。