運命
「風が気持ちいい」




なびく髪を
右手で押さえながら
葉月はぽつりと言った



「そうだな」




そう返事した
ヒロの声はなんだか
暗かった







「ヒロ兄?」



そのヒロの暗さに気付いたのか
葉月はヒロへと
目線を下ろした








「どうしたの?」




そう問い掛け
車椅子から葉月は
降りようとした







ヒロはそれに気付くと
葉月の手を取り
それを制した









「?」





葉月は首をかしげながら
ヒロの言葉を待った。






ヒロはしばらく
切ない顔で葉月を見ていたが
ふっと小さな笑みを浮かべると







「また来ような」





それだけ言って
あとは何も話さなかった















そして葉月たちも
海を去った


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