彼は人魚姫!
「本気で言ってる?」


「本気よ。だって、」


言い終わる前に、しぃのたくましい腕があたしの体を強く包み込んだ。
ちょっと息が苦しいほどに。


「あんまりふざけた事言うなよ。仕事の為に僕は笑ってる。全部、ママの為。あの人たちよりママを喜ばせたい。本当は。今すぐキスして、その先だってやっても構わない。もう限界まで我慢してる…。心も体も全部欲しい」


一瞬、だった。
男の人の力ってこんなに強いんだ…。
抵抗する間もなくあたしはカーペットの上に押し倒されて、両腕を押さえつけられている。
怖い。こんなの嫌だ。違う。違うでしょ?しぃ…。


「なぁんてね。びっくりした?ママ、スキあり過ぎ。そんなんじゃ、野菜イケメンにやられちゃうよ。女の操は化石になっても大事に守らなきゃ」


一気にいつものしぃに戻って明るく笑う。
そして『スキあり!』と、まだ訳が分からず放心状態のあたしの胸をムギュッと触った。


「感触サイコー!」


満面の笑みで店へ戻って行く。
あたしはどこまで翻弄されるんだろ。
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