彼は人魚姫!
どこまでも青い海は、いくら見ても飽きる事がない。
キラキラと光る水面や心地いい波の音、顔を撫でて行く潮風の少ししょっぱい匂い。
どれもずっと前から好きなもの。
この景色の中にずっといたい。
好きな人と…。
「京都はどうだった?舞妓さんには会えた?」
「お前なぁ、京都と言えば舞妓しか知らないんだろ?京都の人はみんな着物着て抹茶飲んでると思ってるんじゃないだろうな?」
海辺をゆっくりと歩く。
隣に薫がいる。
京野菜の勉強だとか言って、しばらく京都に行っていた。
また一段と凛々しくなったような。
「バカにした。そんな事、思ってる訳ないでしょ。それに、京都と言えばあれよ。鹿よ。鹿は見たの?鹿を見なきゃ、京都に行ったとは言えないんだからね!」
確か…合ってるよね?違った?鹿は滋賀県?
「はぁ…。なんかいきなり疲れが押し寄せて来た。まっ、相変わらず元気で嬉しいよ」
呆れたように笑う薫がちょっとムカつく。
でも、変わらない薫に安心する。
隣にいると安心で、落ち着く。