紅蓮の鬼





「コイツは俺のモンだー」


会議が終わったらこのザマだ。


「くどいぞ。嫁ぐ気は無いと言っている」


本当にもう、誰とも夫婦になるつもりはない。


「えー…なんでー?」


「………………」


千秋は尚もワタシにベッタリとへばりついている。


そんな千秋を冷めた目で見る。


「相変わらずモテるね~」


ワタシはその声で顔を上げた。


そこには空木がいた。


「会議お疲れ様」


そして彼はいつものように微笑んで言った。


隣にはこの状況を見て目を見開いている楓太。


………この状況……。


ワタシの腰に千秋の腕が巻き付けられていて、例えにするなら。


そう。


それはまるでどこかの野球部員がロープを腰に巻き付け、タイヤにそのロープつけて引っ張っているかのような。


右にいる金髪のポニーテールはワタシと勝手に手を繋ぎ、左にいる銀髪のロン毛はワタシと肩を組んでいる。


これぞまさに異様な光景である。





< 125 / 656 >

この作品をシェア

pagetop