紅蓮の鬼
「コイツは俺のモンだー」
会議が終わったらこのザマだ。
「くどいぞ。嫁ぐ気は無いと言っている」
本当にもう、誰とも夫婦になるつもりはない。
「えー…なんでー?」
「………………」
千秋は尚もワタシにベッタリとへばりついている。
そんな千秋を冷めた目で見る。
「相変わらずモテるね~」
ワタシはその声で顔を上げた。
そこには空木がいた。
「会議お疲れ様」
そして彼はいつものように微笑んで言った。
隣にはこの状況を見て目を見開いている楓太。
………この状況……。
ワタシの腰に千秋の腕が巻き付けられていて、例えにするなら。
そう。
それはまるでどこかの野球部員がロープを腰に巻き付け、タイヤにそのロープつけて引っ張っているかのような。
右にいる金髪のポニーテールはワタシと勝手に手を繋ぎ、左にいる銀髪のロン毛はワタシと肩を組んでいる。
これぞまさに異様な光景である。