紅蓮の鬼


「けど、このままだったら国民が巻き込まれる!!!」


彼は「国民が死んだらこの国は終わりなんだ」と、意味の分からないことを叫ぶ。


「知るか、んなモン」


「!!?」


絶句。


ヨシャがそんな表情を浮かべる。


「人間同士の争いだろ。あいつらを巻き込むな」


「だけどっ」


「死んだヤツだってこっちにもいんだよ!」


俺の怒鳴り声が、響く。


「鬼は争いが大嫌いなんだ。あと、そんな世界に無理矢理連れて行こうとする、今のお前みたいな人間も」


「……っ…」


それを聞いたヨシャは、目を見開き、すぐに悔しそうに目を落とした。


「こっちにはこっちの世界があんだ。干渉すんじゃねえ」


そう言った俺の声は、いつになく震えていたと思う。


「そういうことだ。大事なモンくらい、自分で守れ」


劉月さんがズイッと割り込んで言う。


俺はその言葉を聞いて、何故か淋が目に浮かんだ。




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