危険な瞳に恋してる

対決

 




「バイト……?
 もちろん、禁止だ」

 ……やっぱり。

 家に帰って。

 父さんに話を切り出した、とたん。

 頭ごなしに、いわれた。

 ………これだから。

 お父さんと話をするのは、とてもイヤなんだ。

「高校生の分際で、バイトだって?
 学生の本分は、勉強だろう?」

「でも!」

 いつもは、ここで諦めてしまうけれども。

 今日は、そんな訳には行かなかったから。

 わたしは真剣に父さんに食い下がる。

「どうしても、やりたいの!」

 本当は。

 こんな、面倒な父さんに黙って、ダーク・クラウンに通ってみても良かった。
 だけど。

 それはダメだ。

 長く続けようと思ったら。

 ウソを突き通すなんて、わたしには、とても、できない。

 珍しく、口ごたえするわたしに驚いたのか。

 父さんも、今日はここでぴしゃりと終わらせるコト無く、聞いてくれた。

 それは、今までなかったコトで。

 わたしも……

 ちょっと、驚いた。

「毎月、こづかいを渡しているだろう?
 足りなくなったのか?
 何か欲しいモノがあるのか?」


「……わたしの欲しいモノは、お金なんかじゃない!」

 
 
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