Raindrop~Mikoto side
私はグルコンのためにずっとこの曲を練習してきたから、ヴィオラの音も頭の中に入っているし、特に問題なく弾けるのは当然と思っているけれど。

和音くんは、さすがだ。

初見で、ほとんど練習もなしに、もう何年も弾き込んでいるかのような深い音を出す。

……いつもは私が弾いている音が、更に甘く響いているような気がする。

同じ曲を弾くと痛感する。彼が本当に天才であることを。


拓斗くんは普段弾き慣れないチェロに戸惑いが感じられる。

でも一生懸命にみんなの音を支えようとしているのが分かる。きゅっと唇を引き結んで楽譜と睨めっこしながら弾いている。

アンサンブルやオーケストラになると、聴く側はどうしても主旋律の華やかさに耳を奪われがちだけれど、聴かせる側として大事なのは、いかに主旋律を支えるか──そう、低音やリズム担当の脇役の楽器なのだ。

主旋律を与えられなくても文句ひとつ言わず、懸命にその役割を果たそうとする拓斗くんも、演奏技術とは違う意味で凄いと思う。

何が大事で、自分が何をすれば良いのかが感覚的に分かる子なんだろうな。

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