Raindrop~Mikoto side
花音ちゃんも拓斗くんと同じ顔で、楽譜と睨めっこ。

つまずき、転びそうになりながら、それでも一生懸命にお兄ちゃんを追いかける姿が目に浮かぶよう。

かわいいな、と思わず顔が綻ぶ。

花音ちゃんの凄いところは、演奏技術うんぬんじゃなくて──もちろん、同じ年頃の子と比べたら十分技術はあるのだけれど、お兄ちゃんたちのおかげで霞んでしまうのが勿体無い──聴く人を自然と笑顔にしてくれるところだ。

それは誰にでもあるものではない。天性の才能だ。

しっかり伸ばしてあげたい部分だと思う。


三兄弟の音について改めてそう感じながら、二度目の通し演奏に入る。

やっぱり花音ちゃんが和音くんについていけていない。私がフォローしようとすると、拓斗くんも手を差し伸べてくれた。

でも……。

和音くんにはその余裕がないみたい。

ひとりだけ前を向いて行ってしまう。

なんだか寂しそうに。

< 104 / 251 >

この作品をシェア

pagetop