Raindrop~Mikoto side
そうしてリビングに和音くんと2人、残される。

拓斗くんはまた気を利かせてくれたのかしら。

……あの子には、私と和音くんの関係はどんな風に見えているのだろう。

叶わぬ恋に苦しむ恋人たち。

さしずめ、ロミオとジュリエット、かしら。


頭に浮かんだ悲劇の恋人たちを自分たちに当てはめると、なんだか笑えてきてしまって、笑みを噛み殺しながら窓の外を見た。

夕方なのに、もう夜になったみたいに暗い。

静かな空間にはさあさあと降りしきる雨音と、リビングにある時計の音、そして雨だれの音が重なり合って響く。

それは次第にメロディになり、重い空気に包まれた私たちを優しく包み込む。

「……ショパン、ね」

小さく呟いた声は、少しだけ離れたところで同じように窓の外を見ていた和音くんにも届いたようだ。

「そうですね」

頷く声が聞こえて、私は微笑む。


ショパン。

雨だれのプレリュード。

それは辛い思い出のはずだったけれど。

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