ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
10代の頃の私は、20歳を過ぎると誰でも大人らしくなれるのだと思っていた。
親戚のお姉ちゃんや、テレビに出てる女優さんがそうだったから。
でも、22になってみて、それは違うと分かった。
周りをはじめ、私自身も、昔想像したような大人にはなれていない。
大学の中を見渡してみると、合コン命の男もいれば、恋に恋する女友達も多い。
私が、自分で自分を大人だと認められる部分といえば、「体つき」と「やること」だけ。
あとは、お酒やタバコが許されることくらいかな。
思考は子供の時のまま、たいして変わりない。
成人式を迎えても、成長した実感などは特になかった。
…――事を終えると、私とサクはけだるい体で裸のままベッドに寝そべり、来週から始まる夏休みの予定について話した。
「来週から夏休みかあ。
二ヶ月もあるし、ハワイでも行くかー」
サクはまた、適当なことを言っている。
ハワイになんて行く気がないのに、彼はノリだけでそういうことを口にする。
「ハワイかー。私も行きたいなー」
私までいい加減な反応。
パスポートなんて持ってないし、作る予定もさらさらない。
なのに、こんなことを平気で言ってみせたりする。
就職活動をしなければならない私達に、手放しで遊べるような夏休みなんて存在しない。