The world is changed story
ヴェルトさん、という男の人の左手を見ると、
少し暗くてはっきりとはわからないけど、薄い蒼色の指輪が。
その左手が少しずつ胸へと上がっていき、
「はじめまして。ウィンド軍の将軍のヴェルトです。」
軽く頭を下げられ、初めての事に困惑してしまう。
ペコリと焦って頭をさげるけど、
今の自分の姿は自分でみたくないほどきっと間抜けだろう。
「あ、丁度よかった。
リュンヌ、今日デイム城に泊めるから。」
ええ、ええええ、そんな話私聞いてもないし、
もちろん承諾した覚えもない。
「…、王子の部屋に?」
な、何を冷静な。
ヴェルトさんは遠い目で夜景を楽しんで、いる?
「馬鹿か!!」
その大きな声に少し驚いて、
私はヴェルトさんからクラルテに視線を移した。
…、ヴェルトさんの指輪の色が、
なんとなくしか見えなかった明度で。
クラルテの顔が、なんだかとても赤く染まっている。
熱そうだなー。って思いながら、無意識にじーっと見てしまった。