The world is changed story
私の視線に気づいたクラルテが、口元を手の甲で隠す。
スパイスに使う薬草みたいな赤に染まった顔は、
それだけじゃ隠し切れていなかった。
「何、?」
あからさまに照れながら言われると、
つられてこっちも照れてしまう。
「なんでもない、です。」
夜景をもう一度みるフリをして、
クラルテから目をそらす。
…、そういえば、しっかりと城を見たことがなかった。
私の家は王都ウィンドのはずれにあるので、
こんなにも大きく綺麗な城も、全体像を家からみることができなかった。
「で、デイムさん。部屋は王子と一緒じゃなくてよろしいんですか?」
とても綺麗で、さっきは見とれてしまったほどの美人さんに、
まさかの質問をされた。
私が泊まるって事は、もう決定事項なのだろうか。
「え…と。」
ただでさえ人と接しようとしてこなかった私が、
この人の多い王城で一夜を過ごす事なんてできるのだろうか。
多分私なんて、無数の泡の一つなんだろうけど…。
それでも、なんだか怖気づいてしまう。
どうしよう…。