The world is changed story
「嫌っ…!!!」
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返し、
自分の肩を自分で掻き抱く。
……夢。
自分を落ち着けるように浅い呼吸を繰り返し、
そして少しずつ呼吸を深くしていく。
ふと自分の右手に温かいものが触れている事に気付き、
視線をゆっくりとそちらに動かしていく。
視線がたどり着いたのは、
私の右手を握り、そのままベッドに顔だけ突っ伏して寝ているクラルテ。
ずっと、いてくれたんだ…。
「…ぁ、」
声が掠れてでない。
でも、目がちゃんと見えてる。
体に残る倦怠感や鈍い痛みは残るけど、
ちゃんと、見える。
ありがとうと言いたいのに、喉が渇いて声が出ない。
つながれた右手と反対の左手で、
そっとクラルテの髪に触る。
ふわふわして、綺麗な髪。
他人を愛おしく思うって、こういうことなのかな?
負の感情の悲しさを知った後だからわかる。
こんな風に胸の中が温かくなるって、すごく幸せだって事が。