The world is changed story




……まずは、お礼、言わなきゃ。


ベッドの傍に置いてあった布靴を履き、

重い扉を静かに開く。


城内を勝手に歩き回っていいものか、と少し躊躇したが、

廊下に出れば誰かと鉢合わせるだろうと妥協した。


ゆっくりと扉が閉まるのを確認して、何故か少し息を詰めた。


ずっとベッドで寝ていたからだろうか、

体の神経が鈍り、少しフラフラした。



「デイムさん?」



足元に集中してゆっくりと歩いていると、後ろから声が聞こえた。


ふりむくと、クラルテの側近のお2人で。

なんだかよくわからないうちに両方から抱えられて、部屋に連れ戻されてしまった。



「デイムさん、貴女、丸1日うなされた後、

一度起きてまた2日間も眠っていたんですよ?



私、そんなに寝ていたんだ。

体がちゃんと動かないのも無理はない。



「そんな体でいきなり普段通り歩いたら危険です。

どこかぶつけたりしたらどうするんですか。」



そう言われて、謝ろうと口を開いた瞬間に、体がふわりと浮いた。

驚いて軽く瞑った目を開くと、至近距離にヴェルトさんの顔が。



「すみません。」



心配をかけた上、迷惑までかけてしまったのが恥ずかしくて、申し訳なかった。

でも、同時に、二人が心配をしてくれていた、という事が嬉しくもあった。





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