The world is changed story
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見慣れない天井。
いつものように好視力。
気持ちの良い朝の目覚めのように、体にだるさは全く残っていない。
「よかっ、た、」
ちゃんと、目覚めた。
唇と喉の渇きのせいで、声は驚くほど掠れていたが、
そんなこと、どうだっていいんだ。
安堵のため息がこぼれた。
胸に手を置き、少し心を落ち着かせた後、
私は部屋を見渡した。
…広い部屋。
家の庭に植えてある落葉樹くらい高い天井、
扉と反対側にある窓には、レースのたっぷりとついた豪奢で大きなカーテン、
自分のかけている布団だって、柔らかい絹に、目に痛くない程度の繊細な刺繍がほどこされ、
ベッドは私の体重を優しく受け止めて、心地がいい。
少し重く感じる自分の足をゆっくりとベッドから降ろし、
裸足のままペタペタと窓に近づく。
白く、一見つめたそうに見える床はほんのりと温かかった。
レースを何枚も重ねたカーテンを少しだけめくる。
すると、太陽の光が見えると思っていたが否、夜の景色が見えた。
自分は一体どれほど眠ってしまっていたのか。
今になってやっとそう疑問を感じた。