ヤンキー少女は純情ちゃん!
──男side──
楓が1人砂浜を歩いてるとき、男たちはまだ呆然と立ち尽くしていた。
一番初めに意識を現実に戻したのは薫だ。
「楓ちゃん、行っちゃいましたけど?」
薫の声で男たちは意識を現実へと引き戻した。
「薫追いかけてこい」
「蘭はいつも無茶を言う……」
「そうだよぉ。蘭はいつも無茶しか言わないよねぇ。そんなに楓が心配なら蘭が行けばいいんだよぉ」
いつも通り間延びした話し方の藍都でさえ心配の色が目に浮かんでいた。
「蘭。お前もしかしてのもしかして、楓のこと好きだろ?」
ニヤリ、と笑った千春と、千春の言葉で真っ赤になった蘭を見て周りは目を見開いた。
「蘭……本当なんですか?」
「……なんということだぁ(泣)」
「…………」
青鬼のみんなは口々にそう言った。
「………悪ぃかよ…」
しばし沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは楓大好き拓巳だ。
「てめぇなんかに楓は渡さねぇかんな!楓は俺んだ!」
「……ふざけんな!楓はてめぇのじゃねぇよ。まだ誰のもんでもねぇし俺だってまだチャンスはあるだろ?」