ヤンキー少女は純情ちゃん!
「……ああ。これ、ナンパだったんだ」
なるほど、とあたしが納得すると周りは愕然とした表情になった。
「………?なに?」
「ま、さか楓ナンパって分かってなかったの?」
「……ケンカ売られてるんだと思ってた」
藍都はこれでもかっていうくらい目を見開いて固まった。
薫も信じられないといった感じで凝視している。
少しの間の沈黙を破ったのは慎弥と黒髪の笑い声。
「……楓って変なところ抜けてるよな」
「……くくっ……っ!」
「変なところってどこだよ。てか黒髪笑うな」
むっとして睨みながら言ったけれど、慎弥はいつも通りさほど気にしていない。
黒髪も怯むことすらもなく、ずっと笑っている。
めんどくさくなってその場を離れようとすると薫に呼び止められた。
「楓ちゃん。みんなに連絡しましたからここにいてください。たぶんすぐ来ますから」
すぐ来られてもな…と思い、再び歩き出そうとした。
するとぐっとおもいっきり引っ張られ身動き出来なくなった。
「は……!?」
びっくりして間抜けな声が口から飛び出た。