ヤンキー少女は純情ちゃん!
「……待っててください。分かりましたか?」
「……はい」
薫は有無を言わさない雰囲気で問いかけてくる。
黒い笑みを向けられたら頷かざるを得なくなる。
千春みたいで怖ぇ……
「それよりぃ…楓パーカーはぁ?ちょー刺激的な格好してんね」
あたしをじっと見ていた藍都はふいに口を開いた。
「……智が持ってんだよ。こっち見んな!変態」
「楓変態って……海なんだから水着は普通。見られて当たり前」
淡々と言葉を並べる慎弥。
あたしは今日学んだことがある!
「……あのさ、思ったんだけど。海に来て水着着るなんて襲ってくださいって言ってるようなもんじゃん」
あたしの言葉に再び吹き出した黒髪。
「ぶはっ!おま……女が襲うとか普通に言うなよ。…くく…っ!」
「……黒髪ツボりすぎ。あたし全然おもしろいこと言ってないんだけど……」
「俺は黒髪じゃねぇよ。唯(ユイ)だ。覚えとけよ、楓」
「……あん?……唯、ねぇ。女みてぇだな。まぁ、覚えてたらな」
しかし、唯って顔じゃねぇな…
確かに顔は整ってるけど女顔じゃなくてキリッとした感じだし。