モラルハザード


「…開けてない…」

安堵から全身の力が抜けるようだった。

でも、まだ安心出来る状況ではない。


「それ、どこにあるの?」

「クローゼットの中」


クローゼットの奥においてある袋は

クッキーでも入っているかのような小さい軽いものだった。

封は確かに開けられていなかった。


「俺、Rさんが、元彼か、他の女からもらったものやと思ったんや。

Rさん、半年前から、彼女と同棲を始めたから

そんなややこしいもん置いておいたら

また喧嘩になるやろうし。いいっすよ、って

1か月くらい前に軽い気持ちで、預かったんや…」


「…ねぇ、この中にもしかして…」


「……」


この袋の中身は、最悪の物の可能性は非常に高い。


これをこのまま持っておくワケにはいかない。


どこかに捨てるわけにもいかない…


小さな袋を間に私と透は長い間沈黙した。


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