モラルハザード
「森川さんですか?」
私は軽く会釈してから、声をかけてきた男性の顔を確かめる。
HPの写真より、少しふけて見える。
「園部です。弁護士の…」
名刺を差し出したその男性は想像していた弁護士風情とは少し違って
物腰の柔らかそうな初老の男性だった。
昨日の夜、陽介が逮捕されとの警察からの連絡は
極めて手短なものだった。
丸2日、連絡がとれなくて、どんなに心配したことか…
しかし、警察はそんなこっちの気持ちはお構いなしで
何の罪で逮捕されたのか、そんなことの説明はまったくないまま
弁護士がいるなら、明日にでも伴ってくるようにと伝えられ
電話を切られた。