モラルハザード

「なんとなくの取り決めだけど、私たち、最初にまとまったものとして

これくらいはお渡ししたわ」

薫さんが、片手の5本の指を広げた。


「あ、でも、強制じゃないのよ。山下先生への敬意というか…そういうものも含めて」


「ええ…」


「でね、杏子さん、私も自分だけ、こんなふうにお茶会に参加させていただくの

とっても心苦しかったの。杏子さんのことが気になって。

それでね、仲良くしていただいている方がたまたまこの会を取り仕切っている桜庭さまと

お知り合いだったから、私、杏子さんのことが気になっていて、お伺いしたのよ」


恩義せがましいものの言い方…


「ご紹介者がいらっしゃらない方でもこの会に入会出来るのかどうかを…」


「…それで…?」


「それは出来ないって、おっしゃったわ。それはもうあっさりと」
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