モラルハザード

「勝手に決めたんじゃないよ。病院の方針だよ」

「急に長野に転勤なんて、私、聞いてない。なんで、亮太なの?他にいないの?…ほら、あの人とか…」

…地方出身のうだつの上がらない同期の岩田さん…といいかけ、言葉を止めた。

「だいたい、5年目の医者に回ってくるんだよ。系列の地方病院への出向。
歳の頃もよかったんじゃない?子ども小学校に上がる前だと動かしやすいしさ」

呑気に話す亮太が憎らしい。

冗談じゃない。

小学校に上がる前だから、大事なんじゃない。

これからの数年で、理依佐の人生が決まると言っても過言じゃない。

そんな大事な時期に、この東京を離れるワケにはいかない。

< 270 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop