モラルハザード
その理由は莉伊佐が女の子だったこと。
「まぁ、一人目はいいじゃない、女の子でも」
義母である正子は、その空気をとりなすように言った。
「そうだな、でも杏子さん、次は男の子を頼むよ
高畠医院の後継ぎを産むのが、あんたの仕事だからな」
義父の言葉は義父にとっては当然の言葉を
普通に言ったようであるけれど
私にはこの上ないストレスだった。
それからも事あるごとに「次は男の子」との義父からの言葉に
何度も耐えられない思いはあったけれど
極めて平静を装った。
でも総攻撃はつらかった。