【砂漠の星に見る夢】
「ただいま」とイシスが家の扉を開けるなり、「イシス! 王室からお使いの方が来ているよ! あんたを王子様の妻にって!」と父と母が勢いよく駆け寄って来た。
「えっ?」
部屋には白装束を纏った若い女性が笑みを湛え、イシスを前にスッと跪いた。
「はじめまして、イシス様。ワタクシは宮殿の侍女でございます。お迎えに上がりました」
イシスは驚き声もなく、もう来たの? と目を開いた。
だって、ネフェルは『明日遣わせる』っていっていたのに……。
そんなイシスの戸惑いを敏感に察知した侍女は柔らかな笑みを見せた。
「勝手ながら前日から宮殿で準備を整えたほうが良いと判断致しました。ぜひご両親と一緒に今から宮殿にお越しくださいませ」
穏やかながらも有無を言わせない様子でそう告げた侍女に、イシスは呆気に取られながらも「はぁ」と頷いた。
「では、外に馬車を用意してありますので。イシス様は前の馬車に、ご両親は後ろの馬車にお乗りください」
侍女はそう言って、扉を開けた。