【砂漠の星に見る夢】

やがて大きな黄金の門を潜ると、黄金に縁取られた白い壁の、目に眩しいほどの宮殿が間近に迫ってきた。


いつも遠くから眺めている見慣れた宮殿だったが、目前にすると言葉を失う迫力があった。


敷地内に入るとすぐにイシスの馬車と両親の馬車は逆方向へと向かった。


イシスは不審に思いつつ『まぁ、後で会えるだろう』と息をついた。


馬車は宮殿の裏手で停まり、外で待機していた侍女が扉を開けた。


「イシス様、こちらへ」


「はい」とよく分からないまま、侍女の後を歩き勝手口だと思われる宮殿裏手の小さな扉から中に入った。


長い通路を歩き、階段を上りきったところで大きな赤い両開きの扉があり、侍女は腕に力を込めて、その扉を開け「どうぞ」と頭を下げた。


イシスは一歩その部屋に足を踏み入れ、その広さと天井の高さに圧倒され、「わあ」と声を上げた。


床は輸入品だと思われる高級そうな柄つきの絨毯が敷き詰められ、天井には大きなシャンデリアが部屋を華やかに演出し、壁際に黄金の調度品が並び、中央には金糸を施された座り心地の良さそうなソファーとテーブルがまるで美術品のように置かれていた。


何より目を引いたのは、部屋の中央より少し壁側に飾られた黄金のイシス像だった。


部屋には数人の侍女が待機し、圧倒されているイシスに向かい一斉に跪いた。



「そ、そんな、跪いたりしないでください」


目を丸くいるイシスに、侍女達は微笑み、


「どうぞ、ソファーでお寛ぎになってお待ちください」


と促されイシスは「は、はい」とソファーに腰をかけた。


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