【砂漠の星に見る夢】
その間、イシスはまるで悪い夢でも見ているかのような気持ちでいながら、ただ放心していた。侍女達が寝室から姿を消したあと、イシスは依然として放心状態のまま、呆然と天井を見ていた。
やがて足音が近づいてきたので、動けない身体ながらも身構えた。
カーテンが開く音がし、足音はベッドサイドで止まった。
「……はじめまして、イシス」
少し高めの、少年のような声だった。
イシスが目だけで声の主を探すと、顎までのストレートの黒髪に、浅黒い肌、そして黒い瞳を持つ冷たげな印象のクフ王子の姿が目に写った。
何度か祭典で遠巻きにクフの姿を見たことがあったが、近くで彼を見るのはこれが始めてだった。
母親違いとはいえネフェルの弟だというのに、その雰囲気がまるで違っていることに戸惑いを感じた。
明朗快活で光り輝くようなネフェルに対し、クフは暗く物静かな雰囲気の少年だった。