【砂漠の星に見る夢】

メルサンクは金の椅子に腰をかけたまま、部屋に訪れた息子・ネフェルを見下ろして優雅な笑みを見せた。


「待望の王子の誕生、おめでとう、ネフェル」


「ありがとうございます、母上」


立て膝で跪き頭を下げたネフェルに、メルサンクは小さく息をついた。


「……それにしても、一時は消えた婚約者を探すことにばかり力を注ぎ、なかなか妻を受け入れなかったあなたが急に妻を受け入れたのにも驚きましたが、すぐに子を儲けたことも驚きでしたよ」


メルサンクはそう言った後、意味深に羽の扇子で口元を隠し、


「あなたの内面で、どんな変化があったのか一度聞いてみたかったのです」


と鋭い眼差しをネフェルに向けた。


何もかも見透かすような母の目に、ネフェルは『参った』と苦笑した。


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