【砂漠の星に見る夢】
「そうです、もう結婚して数年経つというのに、まだファラオにイシスの紹介が済んでいないでしょう。気まぐれに囲った愛妾ならばともかく、イシスはそなたの寵愛を一心に受ける妃。そろそろファラオに紹介しなくてはなりません」
ヘレスはそう言ってニッコリ笑った。
イシスを兄上に会わせることになるなんて……。
不安を胸に抱えながらも「……ええ、そうですね」と気弱に頷いたクフに、ヘレスは優しく手を取った。
「兄にイシスを見せるのは抵抗があるかもしれませんが、彼ももう父親です。そして妻をとても大事にしていると聞きます。もうイシスのことは忘れたでしょう」
クフは少し考えたあと、そうですね、と頷いた。
ヘレスは優しい表情を浮かべながら、
今日の誕生祭でイシスの姿を見たら、ネフェルはさぞかし驚き、悔しがることであろう。
そしてファラオもイシスの美しさを目の当たりにしたならクフが執心する気持ちを少しは理解してくれるであろう。
なんにせよ宮殿の注目を浴びなければ……、
とあれこれ模索し、強く拳を握り締めた。