【砂漠の星に見る夢】


ネフェルは呆然と立ち尽くす見かけぬ侍女・マヤの姿に「君は?」と優しく訊ねた。


「私は……」


マヤはそう言いかけ、自分がネフェルに見惚れるあまり呆然と立ち尽くしていたことに気付き、慌てて跪いた。


「イシス様の侍女・マヤでございます」


「イシスの?」


ネフェルの鼓動はバクンと跳ね上がり、目を見開いた。


「はい」


イシスの侍女がここに足を運ぶなんて、これはヘレスかクフの差し金なのだろうか?


様々な憶測がネフェルの脳裏を駆け巡る中、マヤは切ない目を向けた。


「イシス様はご病気です」


「えっ?」


「あなた様に再会してから、いいえ、ターナ様がイシス様の元に訪れから、イシス様は食事を受け付けなくなり、無理に食べても嘔吐しベッドに伏せることが多くなりました。
このままでは危険です。ネフェル様、どうかイシス様にお会いしてお力づけ下さい」


イシスが病に伏せているという事実に、苦しいほどに鼓動が早くなる。



< 156 / 280 >

この作品をシェア

pagetop