【砂漠の星に見る夢】

イシスはネフェルにしっかりと抱きつきながら、涙を流した。


「ネフェル……ネフェル!」


嗚咽を漏らし、ネフェルの胸に顔を埋めた。


「イシス! 会いたかった!」


互いの名を呪文のように呼び合い、ネフェルは涙にまみれたイシスの頬に手を触れた。


「会いたかったイシス。こんなに近くにいたことも気づかず辛い思いをさせてしまった。何もかも僕のせいだ」


切なさに目を細めながらそう言ったネフェルに、イシスは首を振った。


「いいえ、あなたのせいじゃないわ。ただ、クフ王子が私を見初めてしまったのよ」


それは強い執着心で……。


イシスはまたネフェルにギュッとしがみつき、胸の中で涙を流した。


「―――イシス」


ネフェルはやりきれなさに胸を詰まらせながら、5年間の空白を埋めるかのように強くイシスを抱きしめ続けた。



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