【砂漠の星に見る夢】
ターナは戸惑いながらも、その小瓶を手に取った。
「しかし、このことは誰にも口外してはなりません。そして、この薬は愛する殿方とその母親、二人に飲ませることにより効果があるものですから、よく覚えておいてくように」
へレスはそう言ってニッコリ笑い、侍女たちと共に歩き去った。
ターナは呆然と受け取った小瓶を眺め、ゴクリと息を呑んだ。
『殿方の愛情をゆるぎないものにする薬』
これをネフェル様に飲ませたなら、私だけを愛してくださるかもしれない。
でも、薬に頼るなんて……。
だけど、このままだったら彼はあの方と駆け落ちしてしまう。
『憂いはない』と余裕の笑みを見せた、へレスの姿を思い浮かべ、ターナはギュッと小瓶を握った。
これがあれば、私の不安も消えるのかもしれない。
ターナは金の小瓶を懐にしまい、高鳴る心臓を抑えた。
一方へレスの侍女は、へレスのすぐ後ろを歩きながら、
「上手く行きますでしょうか?」と小声で訊ねた。
「行かなければ、また別の手で行くだけです。ですが切羽詰った女子ほど愚かな生き物はない。きっと上手くいくことでしょう」
とへレスは不敵な笑みを浮かべた。