【砂漠の星に見る夢】

「恐れ多いぞ、その手を離せ! その方をどなたと心得る!」


そう告げたヘムオンに、男は『なにを言ってやがるんだ?』と眉をひそめた。


「そのお方は王子ジェドフラー様だ! 今すぐ手を離せ!」


その言葉に男は目を丸くしたあと、豪快に笑った。


「王子様とはこいつはいい、それこそたんまり身代金をぶんどれそうだぜ」


そんな男をヘムオンは見下すように鼻で笑った。


「下賤な者には、ひとかけらの脳みそもないのか」


「なにぃ」


カッと来た様子で拳を振り上げた男を前にヘムオンは物怖じせずに見据えた。


「王子に手をかけたとなればお前は間違いなく処刑されるだろう。もしくは見せしめのために手足を切られさらし者となる。例えどんなに遠くに逃げても、エジプト王室の軍隊を持ってお前を見つけ出し、死よりも恐ろしい罰を与えられることとなるだろう。
悪いことは言わない。今すぐに王子を放すことを勧める!」


そう叫んだヘムオンに、男は思わず言葉を失った。


そして悔しさに顔を歪ませながらも、「ほらよ」と手を離し、ジェドは泣き出しそうな顔を浮かべながら、すぐにヘムオンの背後に隠れた。
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