【砂漠の星に見る夢】
「このジェドフラー様がなぜ直々に町に下りて来たと思っている!」
ジェドは『えっ?』と目を丸くした。
ええと、なぜ町に下りてきたかって、僕はヘムオンが抜け出すのを見て、着いて来たくなっただけで、と小声で呟くジェドを無視して話を続けた。
「すべては、この現状を把握するようファラオに遣わされたからだ! ファラオもこの飢饉はよく存じていて皆の苦しみを理解している! 王室は皆のことを考えているのだ!
つらい日々であろうがもうしばらく辛抱してほしい! 必ず、皆を救ってみせよう!」
ヘムオンがそう叫ぶと、町の者は息を呑み、その場がシンと静まり返った。
「ヘムオン様!」
次の瞬間、その静寂が嘘のように、割れんばかりの歓声と拍手が沸き上がり、民衆は次々にヘムオンに向かい跪いた。
木箱の上で堂々と民衆を見渡すヘムオンの姿に、『こういう時のヘムオンのとっさの機転は相変わらず凄いよなぁ』とジェドは素直に感心していた。
そんな騒ぎを遠くで聞きつけた家臣のカイは、
「ジェド様、ヘムオン様!」
と声を上げ二人の元に駆け寄った。
「……カイ」
二人は『しまった』とバツが悪そうに肩をすぼめ、「まったく」とカイは木箱の上に立つヘムオンを抱き上げ、ゆっくり降ろした。