【砂漠の星に見る夢】
「さあ、お二人とも帰りましょう。イシス様がご心配されています」
「はい」と二人は素直に頷き、カイと共にその場を去ろうとすると、ジェドを誘拐しようとした大男が、「ちょっと待ってください」と目に涙を浮かべながらヘムオンの前に立ち、勢いよくと下座した。
「ヘムオン様、私はあなたのお父上、ネフェル様と共にピラミッド建造に携わった者です。ネフェル様が亡き後、この国はもう駄目だと失望しておりました。でも今日、あなた様に会えて良かったです! どうか危機を迎えるこの国をヘムオン様が救ってください」
「そなたは、父上を知っているのか?」
と膝をついたヘムオンに、男は強く頷いた。
「はい、明るくお優しく、堂々とした太陽みたいな方でした。あなた様は瓜二つです。またネフェル様にお会いできた気がして、嬉しくてなりません」
男がそう言って涙を流すと、町の者たちも同じように頷き、そして跪いた。
「ネフェル様ならば、きっと、この国をなんとかしてくれたでしょう」
「そうだ、ネフェル様なら」
そういう民衆の姿をヘムオンは、複雑な表情を浮かべた。
自分の父が、一体どんな人だったのか今までよく知らなかったからだ。