【砂漠の星に見る夢】
クフがファラオに即位し、その無能ぶりを目にするたびに宮廷内外では『ネフェル様さえ生きていれば』と陰口を叩く者が増え、それを不服に思ったヘレスはネフェルのことを口にした者にあらぬ疑いをかけて投獄や追放するといった手段に出た。
その為、以後、宮殿でネフェルのことを口にするのはタブーとなっていた。
そんな状況下だったが、どうしても自分の父のことを知りたい思ったヘムオンは、過去に一度、イシスに父のことを訊ねたことがあるのだが、切なげに涙を浮かべた彼女の姿を見て、もう訊くことはできないと感じていた。
こんなに民衆に好かれていた事実に胸が熱くなる程嬉しく感じたが、横にいるジェドを思い、すまないような気持ちになった。
ジェドは、どう思っているのだろう?
そう思い、そっとジェドに視線を移すと、民衆と一緒になり、「そうだ、そうだ」と声を上げていて、ヘムオンは思わず倒れこみそうになった。
「お、お前まで、一緒になってどうするんだよ」
ヘムオンが声を上げると、ジェドは屈託のない笑みを浮かべた。
「だって、ヘムオン、カッコよかったよ、本当に王様みたいだった」
「なにいってるんだよ」
そんな二人を見てカイは微笑し、「ほらほら、お二人とも、もう帰りましょう」と二人を馬に乗せ、宮殿へと急いだ。