【砂漠の星に見る夢】
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「ジェド、ヘムオン、また、宮殿を抜け出すなんて!」


二人が宮殿に戻ると、イシスが仁王立ちをして待ち構えていた。


イシスも三十路を越しハツラツした若々しさはかげりを見せているものの、美しさは変わらず、その美貌で怒りの表情を見せると迫力があった。


そんなイシスに、ヘムオンはすかさず手をかざした。


「イシス様、僕はこれからファラオに面会しなければなりません。お説教はあとで訊くことにしますので、どうかご同行願えますか」


「……ファラオに?」


突然の申し出にイシスは、顔色を変えた。


今までイシスはヘムオンを公の場に出すことを控えさせていた。


ネフェルの生き写しであるヘムオンの美しさと知性は圧倒的な存在感を誇り、必ずや嫉妬や猜疑心の対象になると感じていたからだ。


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