【砂漠の星に見る夢】
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ホールでは外国の行商がクフを前に、世にも珍しいと言われる品物を必死で売り込んでいる姿が目に映った。


「ファラオ、これはどんな物も溶かす、幻の秘薬でございます」


そう言い赤い瓶を差し出す行商をクフは黄金の玉座に座りながら「ほお」とだけ漏らし、悠々と頬杖をついていた。


「――どんな物でも溶かすならば、その瓶はなぜ溶けぬ?」


ホールに入るなりそう声を上げたヘムオンに、「えっ? あっ、そ…それは…」と行商は言葉を詰まらせた。


「まがい物をファラオに勧めるなどと失礼千万。今すぐ下がりなさい」


冷ややかにそう告げたヘムオンに行商は「は、はい」と、すぐさま道具をまとめ、ホールを後にした。


ヘムオンはそのまま、クフの前に跪いた。


「お久しぶりです、ファラオ、出すぎた真似をして申し訳ございませんでした」


そう告げたヘムオンに、クフは小さく笑い、楽しげに目を細めた。


「本当に久しぶりであるな、ヘムオン。面を上げなさい」


ヘムオンがゆっくり顔を上げると、クフはゆっくりと腕を組んだ。


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