【砂漠の星に見る夢】

ヘムオンは無言で拳を握り締め、イシスは沈痛な面持ちでヘムオンの肩にそっと手を乗せた。


「イシス様……お聞きしたいことがあります」


「なにかしら?」


「……ファラオと父とあなたの間に何があったのか、詳しく教えていただけませんか?」


しっかりと目を合わせてそう訊ねたヘムオンに、イシスは「えっ?」と言葉を詰まらせた。


「ファラオのあの様子は、あなたに対するあてつけのように思えてなりません」


「あてつけ……?」


……ヘムオンにはそのように感じたんだ。


今まで、この子に多くを語らなかった。


ネフェルが死んだことも何者かに暗殺され、母がその後を追ったと伝えただけだった。


ついに、すべてを話す日が来たのだろうか……。


イシスはそっと視線を合わせた。


「そうですね、あなたは聞く権利があるのかもしれないわ」


真っ直ぐな瞳で自分を見つめるネフェルにソックリなヘムオンの姿に、イシスは懐かしさに目を細めた。


「―――少し長い話になるわ。部屋に戻ってからにしましょう」


そう告げたイシスにヘムオンは強く頷いた。



< 209 / 280 >

この作品をシェア

pagetop