【砂漠の星に見る夢】
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その後、部屋に戻ったイシスは侍女達を下がらせ、ヘムオンと向かい合って座った。


「なにから話したらいいのかしら」


イシスはそう呟き、熱いお茶を口にしたあと、ゆっくりと天井を仰いだ。


「あれは、私とあなたの父上・ネフェルが16歳の頃のことです」


イシスは噛み締めるように、ゆっくり話し出した。


ネフェルとのナイルの川岸で出会い。


教会で誓いを交わしたが、クフに捕らえられ二人は結ばれなかったこと。


ヘムオンの誕生祭で再会したこと。


そして、ネフェルの最期。


しかしヘムオンの母であるターナが毒を盛ったという事実だけは伝えることが出来ず、ネフェルの後を追ったことだけを伝えた。


すべてを話し終えたとき、ヘムオンは青白い顔で目を伏せていた。


「ショックだったでしょう」


すまなそうにそう告げたイシスに、ヘムオンは俯いたまま、顔を歪ませた。


「……イシス様はお優しい方ですね。僕には分かってしまいました。本当は母が父に毒を盛ったんですね。じゃなければ、僕を残しながら自害するなんて考えられない」


そう告げたヘムオンに、イシスは何も言うことが出来ず、そっと目を伏せた。


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