【砂漠の星に見る夢】
ショックを隠し切れない様子を見せるヘムオンの手に、優しく掌を重ねた。
「……ターナ様の侍女の話では、ヘレス様に騙されたのではないかとのことでした。今となっては、真相は闇の中です。証拠は何もないし」
「でしょうね……」
皮肉めいた笑みを浮かべたヘムオンに、イシスはしっかりと視線を合わせた。
「あなたの父上は死ぬ間際まであなたのことを気にかけていました。最後の力を振り絞ってあなたのことを頼むと、私に……」
イシスは死に間際のネフェルの姿を思い起こし、遠い目を見せた。
「それで……その遺言を訊いて、イシス様は私を育ててくれたのですね?」
父のたっての願いだったから……。
切なく顔を歪ませたムオンに、イシスは優しい笑みで首を降った。
「いいえ、ヘムオン。ネフェルに頼まれなくても私はあなたを育て守ったでしょう。ネフェルの子は私の宝でもあります。私はあなたを自分の子と同じように愛してきました」
イシスは包み込むような目でヘムオンを見つめた。
私のお腹に手を当てて、生まれて来る子を気遣ってくれたネフェル。
自分の子ではないのに、父になると言ってくれたネフェルの言葉に私はどれだけ救われただろう。
そんな彼の子供だから、私も実の子のように愛せたのかもしれない。
ヘムオンは涙を堪えたように目を赤くさせ、何も言わずに顔を伏せた。