【砂漠の星に見る夢】
「……私がファラオに即位したとき、ほとんどの者が『兄上が生きていれば良かった、無能な弟が即位してしまった』と陰口を叩いた。
私は私なりに兄上の影から脱そうと国の為に努力したよ。そうしたなら優秀な家臣を揃えていると世間は家臣を評価し、何もせずにいると母親の影で何もできない馬鹿息子と笑われる。
そして何か失態すると、やはりあのファラオは駄目だと罵倒する」
クフは大きく息をつき、イシスを見た。
「私は、一体なんだ?」
「ファラオ……」
「私は別にファラオになどなりたくなかった。
私自身も兄上の方が相応しかったと思っている。幼い頃から私は何もかも兄には敵わなかった。妬みはあったがそれでいいと思っていた。
……たった一つ欲しいものを側に置くことができたから」
その言葉にズキンと胸が痛んだ。
たった一つの欲しいもの―――。
……どんな方法であれ、この人は私を愛してきてくれたのだ。
イシスは言葉を詰まらせ、苦しさに目を伏せた。